「データ」に溺れる危険性〜里山創生を読んで〜
昨今はビッグデータ、AIなどデータやPCを活用して戦略を立てることが話題になっている。
特にウェブマーケティングと言われる業種においては、数字は何よりの信頼を得ている。
一方、「策士、策に溺れる」という諺がある。それと同じように「データに溺れる」ということがあるのではないか、と感じていたこの頃、一石を投じる本を今回手に取った。
「里山を創生する『デザイン的思考』」(岩佐十良)という本だ。
ここでいうデザイン思考とは、サービスを提供する際に、フレームワークに準じてサービスを策定するのではなく、ユーザーのニーズに基づいてサービスデザインをしていく方法である。
以下のトピックに分けて内容を書いていく。
◇あらすじ
◇ユニークだと思った内容
◇要旨
◇成功要因である3つのメソッド
◇成功法則10のポイントから抜粋
◇あらすじ
新潟の魚沼で旅館経営を開始した著者。成功はあり得ないと言われた計画だが、デザイン思考によって成功へと導いた。旅館は「ライフスタイルを提案するメディア」
◇ユニークだと思った内容
・マーケティングデータを盲信するのは×。行ってみてこそわかることがある。自分でいって感じることが大切。キーワードは「現実社会とデータの反復検証」
・著者の経歴。雑誌編集者。→宿もメディアとして扱う。
・どういう客をターゲットとするか。考えてブランディング。
・魚料理ではなく野菜料理。
◇要旨
データを見て判断するのではなく、まずは体験して肌で感じる。
その後でデータを見て、実感とデータの差を考える。
これが「現実社会とデータの反復検証」
※こういったアプローチを取るのは、データ自体が個人的価値観が介在しているため(アンケートの取り方で結果を左右させることができる、など)
◇感想
自分が思っていたことと重なった。
ちょうどデータだけを見ての判断は×だと感じていた頃だった。0と1の間で全てを判断するのは危険すぎる。
というのも、自分は一般家庭向けに規制緩和された商材の営業をしている。
省庁が行った規制緩和前のアンケートでは、「少しでも値下がりすれば乗り換える」という意見が大多数だった。しかし、実際に訪問すると、思っていた以上に変化への抵抗が大きい。
マーケティングの仕事に携わっていたこともあり、数字を重視する傾向があったが、それだけではなく現場を見ることが大事だと感じてきた頃だった。
この考えに基づくと、例えば、契約率のデータを見て、
A社…3.5%、B社…10%
A社→サボってるな。 B社→◯
と考えるだけではだめだと思った。
現場に行ってみたら客層が全然違う、ニーズとマッチングしていないなど、気がつくことがあるだろう。
もちろん数字を見ないわけではないが、数字に振り回されて実態をつかめないまま判断を下すことがないように、「肌間隔」と「数値」のバランスを常に意識していきたい。
◇成功要因である3つのメソッド
1.雑誌の作り方:体験、多重人格で感じる…肌で感じる
例)寿司特集をする場合
×など方法…ぐぐる、他の雑誌を読んで有名店に行く
◯な方法…ふらっと知らない寿司屋に入る。どんな人が来ているか、内装、味、間合いを感じる。人気になるには?を考えて、当てはまるお店を探していく。
2.①の共通項を抜き取る:共感の統合
例)赤みがうまいお店が人気
3.思考のスクラップ&ビルド:スピードを意識
例)「赤身特集」と銘打つ。読者に聞いて方向転換。
1→2→3→1→2→…と回転させていくメソッド。
1.にことさら感じたことでいうと、
「直感」「なんとなくいい」という感覚が大事。
これはパソコンには出来ない部分であり、今後大事になってくるもの。
この部分を磨くことでサービスが独自の価値を持ってくる。
◇成功法則10のポイントから抜粋
「特定の客層に深くコミットせよ」
→旅館経営はリピーターが大事。
広告費ゼロで来てくれることがありがたい。
一方、価格だけがウリになるとじり貧になる。
先日、社内の勉強会にて聞いた「付加価値が大事」に通ずるものがある。